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「治療と仕事の両立」が事業主の努力義務となっています

労働施策総合推進法の改正により、2026年4月から治療と仕事の両立支援が事業主の努力義務となりました。「治療と就業の両立支援指針」では、両立支援を行うにあたっての留意事項や環境整備等がまとめられています。

 

◆留意事項

指針で掲げる9つのうち、リーフレットでは次の3つを取り上げています。

① 労働者本人の申出

申出が行われやすい環境の整備(ルールの作成・周知、研修による意識啓発、相談窓口の整備、情報の取扱方法の明確化等)

② 労働者との十分な話合い、上司・同僚の理解

労働者に対する措置等の検討にあたり、事業主が一方的に判断しないよう、必要な取組み

・就業継続の希望や配慮の要望を聴取し、話合い等を通じて労働者本人の了解を得られるよう努める

・安易に就業を禁止せず、主治医や産業医等の意見を勘案して、可能な限り配置転換、時短措置などを講じて就業の機会を失わせないよう留意する

・ 疾病や治療に対する誤解や偏見等が生じないよう、事業主、人事労務担当者、上司・同僚等において必要な配慮を行う

③ 個人情報の保護

個人情報の保護も含めた事業場における治療と就業の両立支援のルールおよび体制の整備・明確化

 

◆環境整備

指針では、次の5つを掲げています。

① 事業主による基本方針の表明等と労働者への周知

② 研修等による意識啓発

③ 相談窓口等の明確化

④ 治療と就業の両立支援に関する制度、体制等の整備

⑤ 事業場内外の連携

 

高年齢労働者やがん患者など、治療を続けながら働く人は増加しています。労働者の安心感や人材の定着などに繋げるためにも、措置を講じるようにしましょう。

新入社員の働きやすい職場環境づくりのすすめ

新入社員の業務開始から1カ月ほどが経つこの時期は、職場や仕事への理解が進む一方、不安や戸惑いが見えやすくなる時期でもあります。新規学卒者の就職後3年以内離職状況をみると、令和4年3月卒は大卒33.8%、高卒37.9%と、平成30年3月卒の大卒31.2%、高卒36.9%より増加傾向にあり、若手人材の定着は多くの企業に共通する課題です。

 

◆小さな不安を見逃さないことが重要

「質問しづらい」「周囲に迷惑をかけたくない」と感じ、業務内容、人間関係、仕事の進め方などの悩みを抱え込んでしまうケースもありますが、小さな違和感をそのままにすると、意欲低下や早期離職に繋がるおそれがあります。

若年労働者の職場定着に関する調査ではありませんが、厚生労働省の調査報告書では「『働きがい』『働きやすさ』は、従業員の意欲、定着及び会社の業績向上を高める傾向があることがうかがわれる」とされています。

 

◆相談できる体制づくりを

また、同報告書では「『働きがい』は…(中略)…『自己効力感』が充足されるような雇用管理がなされた場合に高まる傾向があり、『働きやすさ』は『自己効力感』に加え、『相談できる体制』や『福利厚生』に関する雇用管理がなされた場合に高まる傾向がみられる」とされています。

「困っていることはないか」「相談しやすい相手はいるか」等、短時間でも継続して対話の機会を設け丁寧に確認することが、安心して働ける職場づくりに繋がります。今一度、自社の受入れ体制を見直してみてはいかがでしょうか。

令和8年7月から障害者の法定雇用率が引き上げられます

◆具体的な内容

令和8年7月から、民間企業における障害者の法定雇用率が現行の2.5%から2.7%へ引き上げられます。障害者を雇用しなければならない対象事業主の範囲も、現行の常時雇用労働者数40.0人以上から37.5人以上へと拡大されます。

法定雇用率を満たすかは、毎年6月1日時点の障害者雇用状況報告をもとに確認されます。つまり、令和8年6月1日時点の報告は現行の法定雇用率に基づき確認されますが、令和9年6月1日の報告では引上げ後の法定雇用率に基づき確認されるため、新たに対象となる企業では、約1年後の報告を見据えた対応が求められます。

 

◆企業に対する支援策

支援制度としては、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の障害者雇用納付金関係助成金が代表的です。

本助成金は、障害者の新規雇入れや雇用継続を行う上で施設・設備の整備等や適切な雇用管理を図るための特別な措置を行わなければ困難であると認められる場合に支給され、次の8種類があります。

 

障害者作業施設設置等助成金/障害者福祉施設設置等助成金/重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金/障害者介助等助成金/職場適応援助者助成金/重度障害者等通勤対策助成金/障害者雇用相談援助助成金/障害者能力開発助成金

 

要件や手続きなどの詳細はパンフレット「障害者雇用納付金関係助成金のごあんない」もしくは助成金別の案内パンフレットをご覧ください。

法改正への対応とあわせ、無理のないかたちで障害者雇用を進めるためにも、早めの情報収集と準備を心掛けましょう。

 

【参考】
障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf

助成金(JEED)

https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/index.html

 

マイカー通勤手当の非課税限度額が改正されました

◆マイカー通勤手当の非課税限度額が引上げに

令和8年4月1日以後に支給される通勤手当から、マイカー通勤(自動車・自転車等の交通用具を使用した通勤)に係る非課税限度額が改正されました。給与計算や通勤手当の取扱いに影響する内容で、改正のポイントは2つです。

 

① 片道65㎞以上の非課税限度額の引上げ

改正前の非課税限度額は、通勤距離が片道55km以上の人は一律38,700円/月額でしたが、片道65㎞以上について、下記のように引き上げられました。

・片道65km以上75km未満 → 45,700円

・片道75km以上85km未満 → 52,700円

・片道85km以上95km未満 → 59,600円

・片道95km以上 → 66,400円

これにより、片道65km以上のマイカー通勤者に対し、これまで課税対象となっていた一部の通勤手当が非課税で支給できる可能性が生じます。

 

② 駐車場料金相当額の非課税限度額への加算

マイカー通勤者が一定の要件を満たす駐車場等(※)を利用している場合、その駐車場料金相当額(上限5,000円/月額)を、通勤距離の区分による非課税限度額に加算できることとなりました。

※マイカー通勤で使用する駐車場等のうち、通勤手当をもらう人の勤務場所の周辺または通勤のために利用する交通機関の駅もしくは停留所その他の施設の周辺にあるもの。

 

◆対応の留意点

上記は、「令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当」から適用されます。

自社のマイカー通勤者の通勤距離区分や駐車場代の支給方法について、関連する社内規程等を改めて確認し、正しい給与計算に努めましょう。対象者に改正があったことを知らせておくことも重要です。

 

【参考】

通勤手当の非課税限度額の改正について(国税庁)
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2026tsukin/index.htm

50人規模の企業が今後の改正について検討すべきこと 準備はお早めに

◆厚生年金・健康保険の適用拡大

短時間労働者の厚生年金・健康保険へ加入要件の一つに、「従業員数51人以上の企業に勤務していること」があります。この企業規模要件が段階的に縮小され、令和9年10月には「36人以上」となり、令和17年10月には撤廃されます。

コストシミュレーションや従業員への説明など、早めの準備が必要です。

 

◆ストレスチェックの義務化

改正労働安全衛生法により、令和10年5月までに50人未満の事業場のストレスチェックが義務化されます。

これらの事業場は産業医の選任義務がありませんが、厚生労働省の「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」には、「原則として…ストレスチェックの実施を外部機関に委託することが推奨されます」とあり、外部委託費用の試算や実施体制の検討、外部実施機関(医師・保健師、健診機関等)の選定や契約が求められます。

 

◆雇用保険の適用拡大

改正雇用保険法により、令和10年10月1日以降、雇用保険の被保険者要件のうち、週所定労働時間が「20時間以上」から「10時間以上」に拡大されます。手続きや保険料負担に関するシミュレーション、雇用保険料の給与天引きに関する従業員説明などを準備しておきましょう。

 

◆社内規程の整備等も必要

これらの改正対応には、社内規程の整備や体制の見直しも必要となります。企業の選択により具体的にとるべき措置は変わってきます。早めに取りかかることが賢明です。

厚生労働省より「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」が公表

◆小規模事業場へのストレスチェック実施義務化を踏まえたマニュアルが公表

令和7年の改正労働安全衛生法により義務化されることとなった労働者数50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施について、令和8年2月25日に厚生労働省より、「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」が公表されました。

 

◆マニュアルの内容

マニュアルでは以下の項目を解説しており、巻末資料として、①ストレスチェック制度実施規程(ストレスチェックの社内ルールを規程として作成する場合に利用できるもの)や、②サービス内容事前説明書(委託先の選定・契約の際に利用できるもの)のモデル例を掲載しています。

1 ストレスチェック制度の実施に向けた準備

2 ストレスチェック制度の実施体制・実施方法の決定

3 ストレスチェックの実施

4 医師の面接指導及び事後措置

5 集団分析・職場環境改善

6 労働者のプライバシーの保護

7 不利益取扱の禁止

8 外部委託ではなく自社で実施する場合の留意点

労働者数50人未満の事業場においては、原則として、労働者のプライバシー保護の観点から、ストレスチェックの実施を外部機関に委託することが推奨されるものとされており、自社で実施する場合については、上記「8」でも極めて慎重な運用が求められると記載されています。

 

◆施行に向けて早めの準備を

改正法は令和7年5月14日に公布され、「公布の日から政令で定める3年以内の日」より施行されます。マニュアルを確認し、早めに準備を始めましょう。

 

【参考】

「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」(令和8年2月)

https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001646587.pdf

4月から在職老齢年金支給停止の基準額が「65万円」に変わります

◆在職老齢年金の概要と改正

令和8年4月から、在職老齢年金制度の基準額が改定されます。

在職老齢年金とは、働きながら年金を受け取る高齢者に一定額以上の報酬がある場合、老齢厚生年金の一部または全部を支給停止する仕組みです。これまで年金額が調整(支給停止)される基準額(賃金+老齢厚生年金)は月「51万円」でしたが、月「65万円」へ引き上げられます(令和8年度。賃金の変動に応じて毎年改定)。

対象となるのは老齢厚生年金のみで、老齢基礎年金は減額されません。支給停止額の計算は月単位で行われ、基準額を上回った部分の半額が支給停止されます。

この改正により、収入が一定以上でも年金の減額が生じにくくなります。

≪改正後の年金支給額の計算方法(月額)≫

A 基本月額と総報酬月額相当額との合計が65万円以下の場合→全額支給

B 基本月額と総報酬月額相当額との合計が65万円を超える場合→基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-65万円)÷2

 

◆従業員説明のポイント

次の点を押さえて説明するとよいでしょう。

・基準額が65万円に引き上がるため、働き方の幅が広がる:「収入が増えると年金が減るのでは」という不安を和らげます。

・給与は減らず、調整対象は年金のみ:誤解されやすいため、明確に説明すると安心感が高まります。

・年金額の具体的な試算は「ねんきんネット」で可能:従業員ごとに状況が異なるため、個別試算を案内すると理解が進みます。

 

高齢従業員の働く意欲を後押しする改正です。経験豊富な人材の活躍を支える機会へとつなげていきましょう。

 

【参考】

在職老齢年金制度が改正されます

https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/zairoukaisei.html

「産休・育休中の経済的支援かんたん試算ツール」が公開されました

◆「産休・育休中の経済的支援かんたん試算ツール」とは?

厚生労働省は1月、「産休・育休中の経済的支援かんたん試算ツール」を公開しました。このツールは、利用する従業員(「ママの場合」、「パパの場合」に分かれている)の情報を入力することによって、出産時や育児休業中に受け取れる給付金などの額が簡単に試算できるというものです。

入力する項目は以下のとおりです。

・子どもの出生日(子どもが生まれる前は出産予定日)

・生まれる(た)子どもの人数  ・勤務地  ・給与形態
・休業開始前の給与月額  ・出生後休業支援給付金の申請の有無

 

◆何が試算できるの?

「産休・育休中の経済的支援かんたん試算ツール」では、以下の金額を試算することができます。

・出産手当金  ・出産育児一時金  ・育児休業給付金

・出生後休業支援給付金  ・社会保険料免除額

「結果を表示する」をクリックすると、それぞれの支給額が算出されます。また、月ごとの支給額(見込み)、給付額、社会保険料免除額、計算根拠等も表示されます。

 

◆利用の注意点

このツールの計算結果については、あくまで目安であり、実際の給付額を保証するものではありません。また、各制度の要件(被保険者資格、勤務状況、休業期間など)を満たさない場合は支給の対象になりません。

実際に制度を利用するためには、勤務先や健康保険組合、ハローワークなどでの手続きが必要です。詳細な制度内容や申請方法については、厚生労働省や協会けんぽ等のホームページを確認してください。

従業員の出産や育児休業の際に活用してみてはいかがでしょうか。

 

【参考】

産休・育休中の経済的支援かんたん試算ツール

https://shussan.ikukyu-simu.mhlw.go.jp/

 

 

事業の譲渡を行う際に会社等が守るべきルールが変わりました

◆事業譲渡等指針改正

金融機関による事業性融資への取組みを促す施策の1つとして、企業価値担保権の創設等を内容とする「事業性融資の推進等に関する法律」が令和6年6月に成立、令和8年5月25日に施行されます。これを受け、この企業価値担保権の活用がなされた場合も必要な労働者保護が図られるよう、「事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針」の改正が行われました。

 

◆企業価値担保権とは

不動産担保や経営者保証に過度に依存しない、事業の将来性に基づく融資を後押しする制度であり、事業全体の価値が担保価値となります(技術力や今後の事業展開の可能性を評価)。原則として、担保となっている事業を売却するときは「事業譲渡」の方法が用いられます。他の担保制度と比べて手厚い労働者保護が図られる点が特徴です。

 

◆指針の改正ポイント

① 企業価値担保権の設定時:会社は、労働組合等に対して経営課題等に関する意見交換や情報提供に取り組むことが望ましいとされています。

② 企業価値担保権の実行時:管財人は、労働組合等に対し、労働者の権利(賃金債権、団体交渉権等)の行使に必要な情報の提供に努めることや、事業譲渡による雇用や労働条件の影響について話し合うこととされています。

③ 事業譲渡の実行時:労働債権(賃金・退職金)について、優先的に支払うこととされています。労働契約の承継については、個々の労働者から承諾を得ることが必要です。

 

【参考】

厚生労働省HP「事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針」の一部改正について

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouseisaku/saihen/68297_00001.html

 

リーフレット(事業主、管財人等 関係者の皆さまへ

https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001634911.pdf

 

リーフレット(働く方々へ)

https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001634915.pdf

 

子ども・子育て支援金の徴収が始まります

◆子ども・子育て支援金とは?

国の「こども未来戦略『加速化プラン』」で定められた子育て支援の拡充にかかる費用に充てるため、「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第47号)により創設されるものです。

高齢者を含むすべての世代の人が、公的医療保険の保険料とあわせて徴収され、会社員は令和8年4月分から徴収が始まります。

 

◆どのような支援に活用されるの?

2025年4月からの雇用保険の「出生後休業支援給付」「育児時短就業給付」は、子ども・子育て支援金を活用した子育て支援策として、既に実施されています。また、児童手当の拡充や親の就労の有無にかかわらず保育園に通いやすくする「こども誰でも通園制度」の給付なども、同様です。

 

◆負担額はどれくらい?

子ども家庭庁が12月26日に公表した年収別推計によれば、協会けんぽ・組合健保の被保険者一人当たりの月額負担は次のように示されています。ただし、社会保障の歳出改革等を行うことで、支援金による負担は相殺されるため、支援金導入に伴う実質的な負担は生じない、とされています。

・200万円:192円  ・400万円:384円  ・600万円:575円

・800万円:767円  ・1,000万円:959円

 

◆給与計算への影響は?

上記のとおり、会社員は令和8年5月に納付する令和8年4月分の保険料から徴収が始まりますので、あらかじめ従業員に周知しておくとよいでしょう。

なお、育児期間中は医療保険料や厚生年金保険料と同様に、支援金も免除されます。

【こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」】

https://www.cfa.go.jp/policies/kodomokosodateshienkinseido

【厚生労働省「令和6年雇用保険制度の改正内容について(子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律)」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40723.html