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必要性の高まるナレッジマネジメント

◆必要性が高まる背景

ナレッジマネジメントとは、社員個人が持つ知識やノウハウ・経験を、企業全体で共有化し、作業効率の改善や創発的な仕事につなげる経営管理手法です。

属人化のデメリットは広く言われており、コロナ禍によってそれが顕著に表れた企業も多いでしょう。気軽なコミュニケーションの機会や情報交換の場がなくなってしまったことにより、社員の持つ有用なノウハウや暗黙知の伝承といったことが行われず、企業の力をボディーブローのように奪っています。また、働き方の多様化や人材の流動性が高まっており、企業の知識・経験・ノウハウの喪失機会も増加しています。

そうしたことから、ナレッジマネジメントの重要性が増してきています。ナレッジマネジメントのツールもいろいろありますが、社内wiki(データベース)や社内FAQのような比較的取り組みやすそうなものから始めるのも一法でしょう。

 

◆導入のポイント

ナレッジマネジメントを導入する際のポイントとして、よく挙げられるのは次のことです。

・ナレッジマネジメントについての全社員の理解を得る

・ナレッジの定義、運用ルールを定める

・蓄積されたナレッジから重要なものを見分ける

・スモールスタートで始める

・ナレッジを提供したことを評価する仕組みを作る

ただ、これら以前に重要なのは、仕事内容や業務の流れ・手順などがドキュメント化されていることです。ナレッジをデータとして扱う(他人が見て使える形にする)以上は、これは必要なことです。業務マニュアルも作れていないようでは、ナレッジマネジメントも成功しないと言ってもよいかもしれません。

また、社員がその重要性を認識して参加してくれなければうまく機能しませんから、コミュニケーションの改善が重要です。現時点で、自部門の利益だけを優先する風潮が強い、社内の風通しが悪いといった企業では、まずはそれらの改善から着手する必要があるでしょう。

企業の持つ力の底上げにつながるナレッジマネジメントに、取り組んでみてはいかがでしょうか?

12月よりアルコール検知器によるアルコールチェックが義務化されます

◆12月1日から義務化決定

現在、令和4年4月施行の道路交通法の改正により、「白ナンバー」車(自家用車)を5台以上、または定員11人以上の車を1台以上保有している事業者は、運転の前後に目視による酒気帯びの確認とその記録の1年間の保管が義務付けられています。しかし、12月1日からは、アルコール検知器によるアルコールチェックが義務化されることが決定しました。

検知器によるアルコールチェックの義務化は、当初は令和4年10月の施行を予定していましたが、世界的な半導体不足の影響でアルコール検知器の供給が間に合わないとして延期となっていました。その後、アルコール検知器の生産・供給が可能な状況となり、パブリックコメントを募集し施行日が決定しました。

 

◆アルコールチェックの業務

アルコール検知器を用いたアルコールチェックの業務は以下のとおりです。

・運転者の酒気帯びの有無の確認を、アルコール検知器{※}を用いて行うこと

・アルコール検知器を常時有効に保持すること。

※アルコール検知器については、酒気帯びの有無を音、色、数値等により確認できるものであれば足り、特段の性能上の要件は問わないものとされています。

また、運転業務前後に、安全運転管理者による目視での確認(対面で顔色、呼吸(アルコールの匂い)等)と記録が必要となります。

 

◆使用者が責任を問われることも

従業員が酒気帯び運転や飲酒運転で事故を起こした場合、使用者に刑事罰が科される場合がありますし、企業イメージにも大きな影響を与えることになります。滞りなくアルコールチェックが実施できるように体制を整えておきましょう。

【警視庁「アルコール検知器使用義務化規定の適用について」】

https://www.npa.go.jp/news/release/2023/02_sankou.pdf

【警察庁ポスター、リーフレット】

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/img/ankanleaflet.pdf

 

適格請求書発行事業者登録番号のご案内

弊社の適格請求書発行事業者登録番号をご通知させていただきますので、

今後とも弊社をお引き立てくださいますようお願い申し上げます。

 

適格請求書発行事業者登録番号 T9380005005626

トラックGメン設置による荷主・元請事業者への監視体制の強化

◆荷主等への監視体制強化へ

国土交通省は7月21日、長時間の荷待ちや、依頼になかった附帯業務、無理な配送依頼等、適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業(着荷主企業も含む)・元請事業者の監視を強化するため、「トラックGメン」を創設しました。

 

◆トラックドライバーの労働条件改善が急務

トラックドライバーは、他産業と比較して労働時間が長く、低賃金にあることから、担い手不足が課題にあり、荷待ち時間の削減や適正な運賃の収受等により、労働条件を改善することが急務となっています。

これまで国土交通省では、適正な取引を阻害する行為を是正するため、貨物自動車運送事業法に基づき、荷主企業・元請事業者への「働きかけ」「要請」等を実施してきましたが、2024年問題(ドライバーへの時間外労働の上限規制が適用されることによる、物流への影響が懸念される問題)を前に強力な対応が必要と判断し、トラックGメンを創設したものです。

「トラックGメン」による調査結果を、貨物自動車運送事業法に基づく荷主企業・元請事業者への「働きかけ」(違反原因行為を荷主がしている疑いがあると認められる場合)→「要請」(荷主が違反原因行為をしていることを疑う相当な理由がある場合)→「勧告・公表」(要請してもなお改善されない場合)に活用し、実効性を確保するとしています。

 

◆162名体制で始動・本省および地方運輸局等に設置

トラックGメンは、国土交通省の既定定員82人のほかに、新たに80人を緊急に増員し、合計162人体制により業務を遂行するとしています。トラックGメンは、本省および地方運輸局等に設置されます。

【国土交通省「「トラックGメン」の創設について」】

https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001620557.pdf

フリーランスら個人事業主が労働安全衛生法の対象となります

7月31日に行われた、厚生労働省の「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」において、個人事業主等も労働安全衛生法(以下、安衛法といいます)の対象に加えるとする報告書案が示され、了承されました。これにより、仕事を発注した企業・個人事業主等に対して、業務上の災害の予防や発生時の報告などが求められることとなります。

 

◆業務上の災害の把握等

報告対象は、労働者死傷病報告を踏まえ、休業4日以上の死傷災害(被災者が業務と関係のない行為で被災したことが明らかな事案は除く)とされる見込みで、①被災時に個人事業者等が行っていた業務の内容を把握している者、②災害発生場所の状況を把握している者に当たる特定注文者及び災害発生場所管理事業者に対して、労働基準監督署への報告を義務付けます。

ただし、脳心・精神事案が疑われる事案については、個人事業主自身もしくは代理する業種・職種別団体が労働基準監督署に報告できるよう、新たに仕組みが整備されます。

また、業種・職種別団体には、国が公表するデータを踏まえて防止対策を周知することが求められます。

 

◆危険有害作業等に係る災害を防止するための対策

事業者は、安衛法が定める講じるべき措置について、労働者と同様に個人事業主等にも取ることとします。また、個人事業主等には、事業者が通常行っている機械等の定期自主検査の実施や安全衛生教育の受講などが義務付けられます。

 

詳細についてはガイドライン等にて、報告や情報提供を行う際の書式は通達等にて定めるとされていますので、注目しておきましょう。

【厚生労働省「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会  第13回資料」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34484.html

 

令和5年度最低賃金額 全国平均で初の1,000円超え

◆目安はAランク41円、Bランク40円、Cランク39円

7月28日、中央最低賃金審議会で令和5年度の地域別最低賃金額改定の目安の答申が取りまとめられ、Aランク41円、Bランク40円、Cランク39円に決定しました。引上げ額はこれまでで最も大きく、全国平均で時給1,002円と、初めて1,000円を超えました。

これを受けて全国の地方最低賃金審議会で議論が始まり、8月7日には東京都では41円引き上げて1,113円、また秋田県では過去最高の上げ幅となる44円引き上げて897円とするよう答申した、と報じられています。

 

◆引上げ額の目安が4.3%を基準として検討された理由

政府の方針や賃金、通常の事業の賃金支払能力、労働者の生計費を総合的に勘案して4.3%が基準とされましたが、目安の議論を行ってきた公益委員見解では、消費者物価の上昇が続いていることや、昨年 10 月から今年6月までの消費者物価指数の対前年同期比は 4.3%と、昨年度の全国加重平均の最低賃金の引上げ率(3.3%)を上回る高い伸び率であったこともあり、特に労働者の生計費を重視した目安額としたとされています。また、この目安額が中小企業・小規模事業者の賃金支払能力の点で厳しいものであると言わざるを得ない、ともしています。

 

◆厚生労働大臣が中小企業・小規模事業者に対する支援策に言及

中央最低賃金審議会の答申において要望のあった、業務改善助成金の対象事業場拡大等について、加藤厚生労働大臣は8月8日の記者会見において、できるだけ早期に行うよう検討を進め、検討内容を踏まえて後日発表したいと表明しています。

【厚生労働省「令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34458.html

 

夏期休業のお知らせ

日頃はひとかたならぬお引立てにあずかり厚くお礼申し上げます。

連日の酷暑ですが、皆々様におかれましては、なお一層のご自愛のほどお祈り申し上げます。

さて、誠に勝手ながら弊社は左記の期間を夏期休業とさせていただきます。

 

休業期間 8月11日(金) より 15日(火) まで

 

期間中はご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承の上宜しくお願い申し上げます。

 

社会保険労務士法人ケーネット

社会保険労務士 長谷川真紀

社会保険労務士 大原 孝史

 

仕事と育児の両立支援、企業の半数が「業務に支障あり」 ~東京商工リサーチの調査より

東京商工リサーチは、全国の企業を対象に「少子化対策」に関するアンケート調査を実施し、結果を公表しました。政府が進める少子化対策のうち、仕事と育児の両立支援について、企業の半数が「業務に支障が出る」と回答する結果となっています。調査はインターネットにより実施し、有効回答5,283社を集計、分析したものです。

※調査期間は令和5年6月1日~8日。資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義。

 

◆少子化対策の導入で「業務に支障が出る」と回答した企業は約半数

「少子化対策として、3歳までの子どもを持つ従業員の在宅勤務やフレックスタイム制の適用、就学前までの残業免除権の拡大などが検討されています。導入した場合、貴社の業務に支障が出そうなものは次のどれですか?(複数回答)」の質問に対し、「3つの選択肢のうち1つ以上支障が出る」との回答が、全企業の49.9%でした。

「支障あり」と回答した企業を規模別に見ると、「資本金1億円以上(大企業)」が51.9%、「同1億円未満(中小企業)」が49.6%と、大企業が2.3ポイント程度上回っています。

 

◆従業員が少ないほど「業務に支障あり」が低い傾向

従業員数別では、「支障あり」と答えたのは「300人以上」(59.7%)が最多でした。一方「5人未満」は25.7%で、「300人以上」と34.0ポイントもの差が見られました。従業員数が少ないほど「支障あり」と回答した企業の割合が低い結果となっています。

この結果について東京商工リサーチは、「中小・零細企業は、従業員の高齢化や採用難などで少子化対策の両立支援策が必要な年代が少ないことも要因と思われる。支援策が広がると従業員が育児に取り組みやすくなる一方、中小・零細企業では出産・育児を行う世代の雇用をさらに抑制することが危惧される」と分析しています。

 

◆産業別の最多は「製造業」、業種別の最多は「学校教育」

産業別では、「支障あり」と答えた企業は「製造業」(55.3%)が最多で、次いで「建設業」が52.8%、「小売業」が52.4%と、これら3産業では過半数を占めています。

また、業種別(母数10社以上)では、「支障あり」が最も高かったのは「学校教育」の81.8%でした。

【株式会社東京商工リサーチ「2023年「少子化対策」に関するアンケート調査」】

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197745_1527.html

永年勤続表彰金の社会保険、労働保険および課税上の取扱い

◆社会保険上の取扱い

今年6月27日に、「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」に以下の問答が追加されました。

問 事業主が長期勤続者に対して支給する金銭、金券又は記念品等(以下「永年勤続表彰金」という。)は、「報酬等」に含まれるか。

答 永年勤続表彰金については、企業により様々な形態で支給されるため、その取扱いについては、名称等で判断するのではなく、その内容に基づき判断を行う必要があるが、少なくとも以下の要件を全て満たすような支給形態であれば、恩恵的に支給されるものとして、原則として「報酬等」に該当しない。

ただし、当該要件を一つでも満たさないことをもって、直ちに「報酬等」と判断するのではなく、事業所に対し、当該永年勤続表彰金の性質について十分確認した上で、総合的に判断すること。

【永年勤続表彰金における判断要件】

① 表彰の目的

企業の福利厚生施策又は長期勤続の奨励策として実施するもの。なお、支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合は、より福利厚生としての側面が強いと判断される。

② 表彰の基準

勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの。

③ 支給の形態

社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えていないものであって、表彰の間隔が概ね5年以上のもの。

 

◆労働保険上の取扱い

行政手引50502によると、「勤続年数に応じて支給される勤続褒賞金は、一般的には、賃金とは認められない。」とされています。

 

◆課税上の取扱い

国税庁のタックスアンサーNo.2591によると、創業記念で支給する記念品や永年にわたって勤務している人の表彰に当たって支給する記念品などは、一定の要件を満たしていれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。

ただし、記念品の支給や旅行や観劇への招待費用の負担に代えて現金、商品券などを支給する場合には、その全額(商品券の場合は券面額)が給与として課税されます。

【厚生労働省「「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」の一部改正について」(令和5年6月27日事務連絡)】

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T230629T0010.pdf

 

シニア採用の現状と課題

マイナビが行った、非正規雇用の採用業務に携わった人を対象とした調査(2023年)の結果によると、人手不足を背景に、非正規雇用のシニア(65歳以上)の採用について、警備、介護、ドライバーといった業種で採用実績が高いようです。

○警備 89.4%(前年比1.2ポイント増加)

○介護 79.6%(前年比2.5ポイント増加)

○ドライバー 78.6%(前年比6.9ポイント増加)

 

◆シニアを採用する理由、採用したくない理由

この調査で、シニア採用をしている、または採用意向があると回答した人の「シニアを採用したい理由」としては、「人手不足の解消・改善に繋がるから」(51.2%)、「専門性が高い・経験が豊富」(37.1%)、「これまで採用したシニアが優秀だったから」(25.4%)といった回答が上位に挙がっています。

一方、シニアを採用したくない理由として、「体力や健康面に不安がある」(53.7%)という回答もあります。

これらを踏まえて既存の業務の見直しなどを行い、シニア採用を実施すれば、シニアのみならず今後の多用な人材の採用活動や、いったん退職した人の再雇用などの場面にも良い影響を与えるでしょう。

 

◆今後の課題

人手が不足している企業では、シニアの採用が今後いっそう検討すべき課題となります。一方で、今いる中堅社員の介護離職を防止する、「多様な働き方」に対応して自社の魅力アップにつなげるなどの取組みも重要となってきます。介護離職の防止に関しては、来年にも法改正が行われる見込みですので、今後の情報に留意しておきましょう。

【マイナビ「非正規雇用の外国人・シニア採用に関する企業調査(2023年)」】

非正規雇用の外国人・シニア採用に関する企業調査(2023年)